アルバムの続きの日々を
パンパンッ、パンッ! 立て続けに軽快な弾ける音がして、ひらひらと散る紙吹雪が視界に飛び込んでくる。ドアノブに手をかけたまま面食らって固まる僕を、見慣れた顔ぶれの笑顔が出迎えた。 「シモン教授、お誕生日おめでとうございまー …
1115シモン生誕祭
パンパンッ、パンッ! 立て続けに軽快な弾ける音がして、ひらひらと散る紙吹雪が視界に飛び込んでくる。ドアノブに手をかけたまま面食らって固まる僕を、見慣れた顔ぶれの笑顔が出迎えた。 「シモン教授、お誕生日おめでとうございまー …
特別な日に彼と二人でとある場所に来ていた。 ここ数年でシモンが幸せそうに微笑んでくれることが増えた気がする。過去に何度となく感じた不安も無くなっている。 優しく触れてくる手はいつも温かいし、今繋いでる手も想いが伝わ …
たとえば、らしくもなく夜空を見上げた時。 たとえば、自ら進んで食物に興味を持った時。 変化というものは如実に現れるもので。 ******* 以前受けたシモン教授の講義へ再び足を運んだ彼女。だが、そのことを本 …
秋の雨は冷たい。 しとしとと降る雨粒に手を伸ばし、その知見を得た。なんて言ったら、彼は笑うかもしれない。 雨が降った時に感じる独特の匂いをゆっくり吸い込みながら、私はシモンのことを思いだしていた。彼はもう、家に帰っ …
「ねえ、キミは知ってるかな?二匹の蝶は『二人の恋は順調』という意味なんだ。僕がスピリチュアルな話をするからビックリしただろうね。宇宙規模の自然現象ですら、学術的に分析し、動じなかったこの僕が、キミというたった1人の女性に …
急に舞い込んだ大型案件が締め切り前につき、社内は多忙を極めていた。会議、撮影、編集、会議、追加撮影、編集、編集、編集――毎度のことながら、ピリピリしたこの空気に慣れることはない。私は眠たい目を擦り擦り、コピー機の前で伸 …
何かを思いついた子どものような表情の彼女からお誘いを受けたのは2週間前の話だ。 「11月15日、空いてる?」 僕の誕生日を知った彼女が何らかの計画を立てていることは予想していたし、もちろんその日は空けてある。ただあまりに …
「シモン、出来たよ!そろそろ起きて。」 頭上から聞こえてくる彼女の声。 時間は少し前へさかのぼる。 先日、”誕生日を祝いたいから当日は夕食をご馳走させて?”と連絡をもらった僕は、彼女が手料理を作ると踏んで約束 …
誕生日当日、僕らは緑地公園に居た。 自然と触れ合う彼女の姿が見たいがために、僕が彼女に公園で過ごしたいと頼んだからだ。 自然の中にいる彼女は、幼い頃からとても美しい… 彼女は公園に到着するやいなや、何かを探しているような …
どこか遠くの方で、救急車が走っている。かすかなサイレンの音が窓ガラス越しにぼやけて聞こえた。 静かな夜の中、電話の向こうにいる彼女にもう一度謝罪をする。 『じゃあ、やっぱり今日は無理そう?』 気落ちしているのだろう …
シモンの誕生日を来週に控えた今日。 彼が帰宅したらしき物音を確認して、私は隣に住むシモンの部屋を訪ねる。 「こんばんは。シモン。おかえりなさい」 「やあ、こんばんは」 出迎えてくれたシモンは穏やかな笑みを浮かべ、挨 …
誕生日とは特定の人や動物等の生まれた日、あるいは、毎年迎える誕生の記念日のこと。 辞典をいくつか見ても〔誕生日とは記念日であり、おめでたい日〕というのが世間一般の考えらしいが、自分にはさっぱり分からなかった。 なぜなら …
『シモン、本当にごめんなさい。終わったらすぐ向かうから』 「社長、急いでくださーい!先方がもう着いてます!」 取り急ぎメールを打ったと同時に掛けられた声。慌ててスマホをポケットにしまい走り出した。 今日の夜はゆっくり二人 …
「ねえ、シモン?もうすぐシモンの誕生日だね」 電話越しにでもうきうきした気持ちが伝わってくる弾んだ声だ。 立て込んでいる実験の間にかかってきた電話は、案の定、撮影の企画に行き詰った彼女からだった。それだけかと思いきや …
「11月15日は空いてる……?土日も合わせて私は3連休を取る予定なんだけど。」 そうシモンにメッセージで尋ねた。 「僕も休みをとるよ。」 すぐに返ってきたその返信に安堵する。 良かった……休みを取るつもりで仕事を頑 …